オーストラリア・クイーンズランド州南東部に上陸が予測されている7日現在カテゴリー2のサイクロン「アルフレッド」。
オーストラリア第3の都市ブリスベンやゴールドコーストがあるクイーンズランド州南東部へのサイクロン上陸は、1974年以来、51年ぶりとなります。
アルフレッドの進行速度が遅くなり、上陸のタイミングが読めない状況が続いています。
最初は5日(水曜日)の上陸予測、そして6日夜から7日朝にかけての上陸予測と変わり、現在は7日(金曜)の夜から8日(土曜)の朝ごろにかけての上陸が予測されています。
なんとも落ち着かない数日を過ごしています。
ゴールドコーストで経験する初めてのサイクロン。稀なことなので、色々メモしていきます。
目次
サイクロン・アルフレッドの状況(3月7日01:00am時点)
オーストラリア気象局(BOM:Bureau of Meteorology)によるサイクロン・アルフレッドの状況です(3月7日01:00am 時点)。
強度: カテゴリー2
中心付近の持続的な風速: 時速95km(最大瞬間風速: 時速130km)
位置:
南緯27.4度、東経155.1度付近(誤差35km)
ブリスベンの東205km、ゴールドコーストの東北東185km
移動:
ゆっくりと移動中(7日11am時点で時速8キロ)
状況:
ゆっくりとクイーンズランド州南東部の沿岸に接近し、カテゴリー2の強さを維持しています。
予測進路:
7日金曜の夜から8日土曜の早朝にかけて、ヌーサ(Noosa)からクーランガッタ(Coolangatta)の間のどこかで上陸する可能性が高いと予測されています。
災害リスク:
大雨がクイーンズランド州南東部およびニューサウスウェールズ州北東部で発生中。非常に激しい雨や局地的な集中豪雨により、危険な鉄砲水(flash flood)の発生が予想されています。サイクロンの移動が非常に遅いため、今後数日間にわたって広い範囲で大雨が続く見込みです。このため、深刻な被害が発生する危険性が高まっています。
予測進路図
3月7日(金)01:53am時点のオーストラリア気象局(BOM:Bureau of Meteorology)による予測進路図(Tropical cyclone forecast track map)です。

予想される被害
サイクロン接近に伴い、河川が増水して広範囲に渡る洪水被害が発生する可能性があります。また、強い風によって建物やインフラが損傷するリスクも高まっています。
さらに、海岸地域では高波や高潮が発生し、沿岸部の住宅に被害をもたらしたり、砂浜が大きく削られたりする恐れがあります。ゴールドコーストのビーチもすでに大分侵食が進んでいます。侵食の様子を写真や動画で見て大ショック、元のビーチに戻るのにどれくらい時間がかかるのでしょうか。
ゴールドコースト市の全てのビーチが閉鎖され、当局は人々に海岸から離れるよう警告しています。無謀な行動に対して最大A$16,000(約160万円)!の罰金が科される可能性があります。安全を最優先に、ビーチへの立ち入りは避けるべきですね。
ソース:
Warnings of $16k fines as spectators flock to witness power of Tropical Cyclone Alfred
「カテゴリー2」サイクロンの定義
オーストラリア気象局(BOM)によると、サイクロン・アルフレッドはカテゴリー2に分類されています。カテゴリー2サイクロンの定義は以下の通りです:
破壊的な強風: 平均風速89~117 km/h、最大瞬間風速125~164 km/h
予測される被害:
家屋への軽微な損傷(minor house damage)とありますが、屋根の瓦が飛ぶ、窓ガラスが割れる、ドアが外れるなど、建物の構造に直接的な影響を与える可能性があるという感じでしょうか?
看板、樹木、キャラバン(トレーラーハウス)への大きな被害
農作物への深刻な打撃
停電のリスク
小型船舶が係留から外れる可能性
ソース:
http://www.bom.gov.au/cyclone/tropical-cyclone-knowledge-centre/understanding/categories/
サイクロン・アルフレッドの現在の最大瞬間風速は時速130キロ(秒速36メートル)で、カテゴリー2の範囲内に収まっています。
サイクロン、台風、ハリケーンの違いは?
サイクロン、台風、ハリケーンはすべて熱帯低気圧が発達したもので、地域によって最大風速の基準に違いがありますが、基本的に同じ現象です。発生する場所によって名前が異なります。
サイクロン: インド洋、南太平洋、オーストラリア周辺で発生する熱帯低気圧を指します。 南半球のため、反時計回りに回転する(北半球では時計回り)。
台風: 北西太平洋(日本、中国、韓国、台湾などの東アジア地域)で発生する熱帯低気圧を指します。
ハリケーン: 大西洋、カリブ海、メキシコ湾、北東太平洋(アメリカ合衆国周辺)で発生する熱帯低気圧を指します。
また、オーストラリアのサイクロンと日本の台風が同じ強さだった場合でも、被害の差は建築基準や地理的条件、災害対策の違いによって変わる可能性が高いです。

サイクロンへの備え
わたしが住んでいるゴールドコーストのスーパーでは、3日に買い物に行った際は普通に商品がありましたが、5日には水やパン、缶詰、トイレットペーパーなどが売り切れたり、品薄になっていました。なんだかコロナ禍のことを思い出します。
ショッピングセンターやお店は6日から閉まっているところが多そうです。学校は休校、公共交通機関は運休になるなど、各所で準備が進んでいます。
3日から、カウンシルやストラタなどからサイクロン・アルフレッドに関するSMSやメール通知が次々と届いています。サイクロンの進行状況や警告、避難指示など、貴重な情報源となっています。
わたしが行った備え
- 水や缶詰など非常食の確保
- カセットコンロのガスボンベ補充
- 保冷剤を多めに凍らせておく(停電時に冷蔵庫やエスキーの温度を保つのに役立つ)
空いたペットボトルにお水を入れて凍らしておく、エスキーの中に入れて保冷剤として使える(SNSで教えていただきました) - モバイルバッテリーなどの充電、懐中電灯、電池式ラジオの準備
- 庭やベランダのアウトドア家具など、飛ばされそうなものを屋内に移動し、植木鉢なども片付ける(強風で飛来物が窓ガラスを割る可能性があるため)
- 車のガソリンを満タンに補充
- お風呂やバケツに水を張っておく(飲料以外の用途に備えて)
- 貴重品や重要な書類などまとめておく(家を離れて避難が必要になった場合に備えて)
- 避難場所の確認
電気、通信(電話・インターネット)、水が数日間断たれる可能性もあるため、備えはしたつもりです。しかしこれらのライフラインの復旧には時間がかかることもあるので、今回の経験を通して、災害が迫ってから準備を始めるのではなく、日頃から備えておくことの重要性を強く実感しました。
情報収集と緊急の際の救助等依頼
天気予報、ニュースやオーストラリア気象局(BOM:Bureau of Meteorology)発表、各自治体の情報掲示板(Dashbord)などで最新情報を入手しています。
自治体の情報掲示板:
ゴールドコースト市:https://dashboard.goldcoast.qld.gov.au/
ブリスベン市:https://www.brisbane.qld.gov.au/community-and-safety/community-safety/disasters-and-emergencies/emergency-dashboard
停電エリアのチェック Outage Finder – Energex
災害に巻き込まれるなど緊急に救助等が必要な場合:
緊急電話番号000(Triple Zero)(当地消防、救急、警察)
又は132-500(QLD州 SES: State Emergency Service)に通報し対応を依頼。
※SES – For non-life threatening flood and storm emergency assistance during severe weather events
おわりに
本記事を書いている現在、雨風がかなり強くなってきています……。
影響地域にお住まいの皆さま、どうか安全にお過ごしください。被害が大きくならないことを心から祈っています。
追記:追加更新
3月7日(金)5:30pm更新 | ゴールドコーストを含む広範囲で停電発生
サイクロン・アルフレッドの接近に伴い、クイーンズランド州南東部とニューサウスウェールズ州北部で大規模な停電が発生しています。
クイーンズランド州の停電状況:
クイーンズランド州首相のデヴィッド・クリサフリ氏が金曜午後に発表した情報によると、レッドランド(Redland)、ゴールドコースト(Gold Coast)、ローガン(Logan)、シーニックリム(Scenic Rim)の各地域で46,036戸が停電しているとのことです。特に沿岸部では強風と大雨の影響で倒木や電線の損傷が相次いでいるとみられます。
ニューサウスウェールズ州北部の状況:
ニューサウスウェールズ州北部でも被害が拡大しています。強風と豪雨により、一晩で35,000戸以上の住宅や商業施設が停電しました。この地域では、暴風による倒木や浸水の被害も報告されています。
サイクロン・アルフレッドは進行が遅く、長時間にわたって悪天候が続く可能性があります。電力会社による復旧作業が進められていますが、さらなる影響が出ることも考えられるため、引き続き警戒が必要です。
ソース:
Cyclone Alfred power outages: Get the latest updates on blackouts in Qld, NSW
3月8日(土)23:30pm更新 | サイクロン・アルフレッドが熱帯低気圧に変わる
トロピカルサイクロン・アルフレッドは勢力を弱め8日朝6時ごろに熱帯低気圧に変わりました。しかし今後サンシャインコーストとブリスベンの間を通過すると予測され、クイーンズランド州南東部では依然として大雨、強風、洪水等のさらなる影響が予想されているので注意が必要です。
元サイクロン・アルフレッドの影響により、昨日から発生している10年以上ぶりとされるクイーンズランド州南東部とニューサウスウェールズ州北部の大規模な停電が続いています。倒木による通行止めや、停電による信号機の滅灯など、道路交通にも影響が出ているようです。また、QLD州とNSW州との州境付近で洪水発生が確認されています。
クイーンズランド州南東部における公共交通機関は全面運行停止中(8日6am時点)で、運行再開に関するアナウンスはまだ出ていません。
Translink:https://translink.com.au
ブリスベン、ゴールドコースト空港は8日現在閉鎖中ですが、9日(日)に運航再開の見込みとのこと。
ブリスベン空港:https://www.bne.com.au/
ゴールドコースト空港:https://www.goldcoastairport.com.au/
ゴールドコースト、昨夜10-12時ごろは雨風がかなり強かったです。大規模停電の中、我が家は運良く停電しておらず、インターネット、水道も止まっていません。家も目に見えるダメージはないですが、ご近所さんの家の屋根や窓が損傷を受けたとのことなので、落ち着いたら点検が必要になりそうです。家の近くで何本か木の枝が折れていたり、公園など浸水している場所もありました。勢力が弱まりほっとしましたが、しばらくは強い雨風が続くので油断しないようにしようと思います。
3月9日(日)10pm更新 | ショッピングセンター営業開始
昨夜から元サイクロン・アルフレッドがクイーンズランド州をゆっくり通過し、ゴールドコーストにも大雨を降らせています。
ショッピングセンターが営業を開始したので、スーパーやベジショップへ行きましたが、まだ営業していないお店もありました。スーパー(Woolworths)はとても混雑して、牛乳、卵、バナナ、ソーダ水などの売り切れ商品もありましたが、こだわらなければ購入できる商品は十分にありました。
3月10日(月)9pm更新
お昼頃まで大雨でしたが、午後には雨が止んだので、近所を歩いてみました。根こそぎ倒れた木が5〜6本目に付きました。水辺の遊歩道や公園のテーブル、ベンチは水没し、かなりの雨が降ったことが伺えます。
車で10分ほどの海岸線が見渡せる展望台にも行ってみました。サイクロンによってビーチの砂が削られた侵食がはっきりとわかります。驚いたのは、子供たちが高台からボディーボードに乗って滑り降りる「マッドスライド」で遊んでいて、どろんこになっていました…。
友人宅では今日で4日間停電が続き、未だ復旧していないエリアもあります。また地域によっては、洪水や浸水による甚大な被害が出ています。一日も早い復旧と、皆さまが普段の生活を取り戻せることを願っています。